理事長所信
はじめに
幕末の激動期、多くの若者が天下国家のため正しいと信じたことを、生命をかけて活動しました。その活動家は「志士や仁者は、自分が生存するために、人の道に背くようなことはしない」を意味する「志士仁人、無求生以害仁」から志士と呼ばれました。
この地域の、この国の、そして世界のために青年会議所活動を行う我々も人生の中で限りある時間を使って活動するという意味においては生命を懸けて活動しているといえます。
誰に指示されたものでもない、自分が正しいと信じたことを人の道に背くことなく命を懸けて行い、我々がこの地域の、日本の、世界の明日へつなぐ架け橋となる。その姿を周囲に発揮することで魅力と品性にあふれた個人が集う組織となるよう活動してまいります。
組織力強化:明日の組織のために
青年会議所は青年経済人の集う組織であり、未来につなげるには組織力の強化は不可欠です。経済学者のバーナードによると組織とは「共通目標」「貢献意欲」「コミュニケーション」の点で構成されます。我々、青年会議所は「共通の目標」として「明るい豊かな社会の実現」を設立以来掲げて活動しています。
しかしながらその活動に対する会員の「貢献意欲」の形は時代とともに日々変化しているように感じます。「日本で一番にしたい会社」の著書で知られる坂本光司によると高い顧客満足度を高めるには従業員満足度を高めなければならないとされています。青年会議所も同様であり、「会員満足度」を高めることが「地域満足度」につながるものだと考えます。
さらに、「共通目標」「貢献意欲」の基盤となる「コミュニケーション」を深いものにすることで、我々が「明るい豊かな社会の実現」のために活動できる環境を整備します。
その環境整備に加え、さらに内外の青年会議所の優れた拡大手法を取り入れることで会員拡大16名を達成すべく取り組みます。
また、財政面においても過去の遺産に頼ることなく、現在持っている力を最大限に発揮し、効率的な活動を行うことで組織の明日につなげます。
社会開発:理想を求め続ける団体として
我々が目指す「明るい豊かな社会」とは何でしょうか。それは何者に対して過不足のない理想の状態であると考えます。「中庸」と呼ばれるその状態は一定のものではなく常に変わり続けるものであり、その「中庸」を求め続ける我々の活動も終わりのないものです
この稲沢市においても少子高齢化などの人口構造の変化、グローバル化による国際状況の変化、IT化をはじめとする技術革新による産業構造の変化により稲沢市に住まう人々の環境は変化し続けています。また、それぞれの立場の違いから各個人・団体によって求めるものが異なっています。それを一つにすることは容易なことではありませんが、どの立場からも中立で自分たちの考えに基づいて行動できるという素晴らしい団体である我々青年会議所ならばそれをなしえることができると考えます。
これまでの43年間の歴史で培ってきた稲沢における各種関係団体との協働の概念と、世界中で活動を行う青年会議所の組織力を生かして、この終わりのない活動を積極的に進めてまいります。
会員開発:青年経済人として
我々は明日のこの地域の正しい発展を願う青年経済人です。経済とは単に売買を基本とした企業活動を指すのではなく、本来は「経世済人;世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」という、より広く政治・統治・行政全般を意味しています。我々青年経済人はビジネスの主体者である企業人であり、地域を担う責任世代であり、さらに青年会議所活動を行うJayceeです。より質の高い青年会議所活動を行うために企業人として、責任世代として、さらにJayceeとしての高い能力を開発します。
広報:発信力のある団体として
仏教やイスラム教などの問いに、「無人の山中で木が倒れたとき、音はするか」との問いがあり、その答えはノーであるそうです。確かに、音波は発生しますが、誰かが音を耳にしない限り、音はしません。音は知覚されることによって、音となります。誰も聞かなければ、音はありません。
ここで音こそ我々の活動の発信です。どれだけ素晴らしい活動を行ったとしても相手に届かなければ意味はありません。逆に効率的に伝えることによって発信力の質が上がっていくものだと考えます。各種の手法を用いて効率的に相手に届く発信力のある団体となるよう活動していきます。
結びに
1973年に創立された稲沢青年会議所は43年間、それぞれの時代の課題を解決すべく運動が続けられてきた結果、現在の稲沢青年会議所が形作られました。しかしながら、最盛期には80名を超えた会員は近年減少の一途をたどっております。会員の減少は地域社会からの評価そのものである事を真摯に受け止めなければなりません。その原因は作り上げられた形に囚われ過ぎた結果ではないでしょうか。形を追うのではなく、この稲沢を、そしてこの稲沢青年会議所を愛するという気持ちを取り戻し、愛する気持ちに従って2017年に控える45周年さらに50周年に向けて変化を恐れず、自分を信じて命をかけて活動しよう。